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2005.09.04 Sunday

パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番 (1)

「悪魔に魂を売った男」の「天使の声」
バイオリンの鬼神と呼ばれ、当時はそのバイオリン演奏のあまりの上手さに、「パガニーニの演奏技術は、悪魔に魂を売り渡した代償として手に入れたものだ」と噂されたという。そのため死後に教会から埋葬を一時拒否されたほどである。
パガニーニ自身は技術が他人に知られるのを好まなかったため、生前はほとんど自作を出版せず自分で楽譜の管理をしていた。
フリー百科事典 ウィキペディア日本語版:ニコロ・パガニーニ
パガニーニは演奏会の直前にパート譜を配り、終わればさっさと回収してしまうのが常でした。練習など無いに等しかったと言われています。ですからオケのパートは初見でも弾きこなせるほど簡単なものでなければならず、そうなればソリスト(パガニーニ自身)が目立ち喝采を浴びるような計算も働いていたようです。
宮地楽器ピアノ技術課 WEBSITE:自ら喝采を浴びるために名曲を残したニコロ・パガニーニ

以上はどれもパガニーニについて、また自作の協奏曲の演奏に関しての引用ですが、今回紹介する曲は
パガニーニ作曲の「ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 Op.6」です。

シンプルな構成でありながら、ソロが派手で、そしてゆったりとした歌も美しい。ヴァイオリンの技巧を最大限に駆使している一方で、とっつきやすくて気楽に聞くことも出来る。

1楽章は技術的な面から見ると、一気に駆け上がり駆け下りる2オクターブ以上のスケールと、歯切れの良い重音演奏。そこに、節々にハーモニクスや(左手で)ピッチカート入れることにより、いっそうのきらびやかさが生まれる。そのくせ、その間に入るメロディーがとても甘く聞きほれる。一番の聞き所は展開部だろう…十分に長さを保った和音を響かせ、そのまま高音を響かせておき、その緊張感を保ったまま徐々に降下し、たまったエネルギーでまた一気に駆け上る。コレを2回、そしてもう2回、計4回やらされる。鳥肌が立ちます(^^;

2楽章はテーマは重く…といった感じで、聞いている分には派手な技巧がなくなるために少し落ち着いてソリストの音に溶けていく…そんな印象。2楽章は時間にすると大変短いが、ファゴットの音に哀しみを、低弦の音に圧力のようなものを、そしてソロの高音は芯の通った何かを十分に感じますね。

3楽章は2楽章の重さから突如開放される…これがまた快感。思わずベートーヴェンやむしろモーツアルトあたりのロンドを連想してしまうが、使われる技巧のためより軽快にすっきり聞ける。技術的にはすさまじいので「軽く演奏する」例えば「細かい音一つ一つをリズムよく響かせる」というのはとてつもなく難しいことが容易に予想できる。

そういえばハイフェッツの録音とかないのかなと思って調べたところ
「なぜ彼はパガニーニの曲をほとんと演奏・録音しなかったのか」ということ。残された「ハイフェッツのパガニーニ」は三曲のカプリースと一曲の小品があるにすぎない。
 よくある安直な答えは「ハイフェッツはパガニーニ作品の価値を認めていなかったかったから」というもの。しかしそれはおかしい。ハイフェッツによって繰り返し演奏・録音されたヴァイオリン曲の中には、客観的に見て、パガニーニ作品よりもはるかに価値の乏しい曲が多数ある。ハイフェッツの場合、「弾けないから」はありえない以上、何か別の理由があるのはずなのだ。
モーストリークラシック・エキサイト
かのハイフェッツはパガニーニの協奏曲だけは録音しなかった。その理由について、「私は難しい曲は録音しない」とコメントしたという。
ヴァイオリン・ウェブ/演奏家ライブラリ

どうもはっきりしないですけど、後者だとしてもおかしくないですよね…だってハイフェッツさんたまにテキトー(-.-;

この曲について続きを書くつもりです。次はCDの情報など予定しています。

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